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マネジメント
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「何によって憶えられたいか」の問い
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自らの前にある機会と挑戦は何か、自らの拠り所、指針とすべき基本と原則は何かを考える。
P.F.ドラッカーはマネジメントの父と言われている。そのメッセージは今もっとも社会が必要としていて、未来を予言する専門家の言葉だ。 「もしドラ」はその言葉を分かりやすく翻訳した。 P.F.ドラッカー著上田惇生編訳 マネジメント エッセンシャル版 より、そのメッセージを紹介する。
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okada
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2011/09/11
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●もしドラ 萌系の表紙
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら
出版社 ダイヤモンド社、 著者 岩崎夏海
「もしドラ」はこの会社にとっての「イノベーション」
●マネジメントの役割
@自らの組織に特有の使命を果たすために存在する。それぞれの目的を果たすために存在する。
市場と個人のニーズ、すなわち消費者と従業員のニーズについて、予期し、識別し、満足させる。
A働く人を活かす。「人は最大の資産」
生計の資、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段。
人の強みを生産的なものとすること。---- 組織の目的
B自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割。
マネジメントは、すでに知られているものを「管理する」---管理的活動
「企業家となる」 知られているものを陳腐化し、明日を創造する。---企業家的活動
●管理的活動と企業家的活動
マネジメントの仕事と組織は、それ自体が絶対的かつ無条件のものではない。
それらのものは、果たすべき役割によって決定される。
●企業(組織)(非営利組織)とはなにか。
企業(組織)の目的はそれぞれの企業(組織)の外にある。
企業(組織)は社会の機関であり、その目的は社会にある。
目的の定義は一つしかない。それは顧客を創造すること。顧客を満足させること。
企業が何かを決めるのは顧客である。
基本的な機能それはマーケティングとイノベーションである。
マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。
組織とは、個としての人間一人ひとりに対して、また社会を構成する一人ひとりの人間に対して、何らかの貢献を行わせ自己実現させるための手段である。---マネジメントの正統性
組織の中の人間が成果をあげ貢献できるようにする組織構造は、すべて正しい答えである。
なぜなら、人のエネルギーを解き放ち、それを動員することが組織の目的であって、均整や調和が目的ではないからである。成果こそ組織の目標であり、その良否の判定基準である。
●マーケティング
マーケッティングの目標は、二つの基本的な意思決定の後でなければ設定できない。
@ 集中の目標と市場地位の目標である。
市場において、目指すべき地位は最大でなく最適である。
A顧客の欲求からスタートする。
すなわち顧客の現実、欲求、価値からスタートする。
「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。
マーケティングの理想は、販売を不要とし、おのずから売れるようにすること。
●イノベーションとは
科学や技術そのものではなく価値である。 新しい満足を生みだす。
組織のなかではなく、組織の外にもたらす変化。 外の世界への影響である。
イノベーションは製品ではなく常に市場に焦点をあわせなければならない。
すでに発生していながら、その経済的な衝撃がまた現れていない変化がイノベーションの機会となる。
イノベーションの戦略は、既存のものはすべて陳腐化すると仮定する。
イノベーションの戦略は、古いもの死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てること。
●利益
利益とは、原因ではなく結果である。
成果の判定基準。 不確定性というリスクに対する保険。 よりよい労働環境を生むための原資
社会的なサービスと満足をもたらす原資。
社会及び経済にとって必要不可欠なものとしての利益については、弁解など無用である。
●マネジャー
命令する権限ではない。貢献する責任である。組織の成果に責任をもつもの。
組織の目標を専門家の用語に翻訳してやり、逆に専門家のアウトプットをその顧客の言葉に翻訳する。
マネジャーは専門家のボスではない。
事業のマネジメント、人と仕事のマネジメント、社会的責任の遂行という三つの役割と、ただちに必要とされているもの(現在。短期)と、遠い将来に必要とされているもの(未来。長期)を調和させていく。
●マネジャーの資質
学ぶことができなく、後天的に獲得ができない資質、初めから身につけていなければならない資質が才能ではなく、真摯さである。 「真摯さ+信頼」
●人事に関わる意思決定
成果中心の精神を高く維持するには、人事に関わる意思決定こそ、最大の管理手段である。
組織のなかの人間に対して、マネジメントが本当に欲し、重視し、報いようとしているものが何であるかを知らせる。
●真摯さなくて組織なし
何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネジャーに任命してはならない。
強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに任命してはならない。
真摯さよりも、頭のよさを重視する者をマネジャーに任命してはならない。
部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。
自らの仕事に高い基準を設定しない者をマネジャーに任命してはならない。
特定非営利活動法人 組織
●行おうとする事業が特定非営利活動に該当するか否かは、その法人が定款に定めた目的によって判断される。目的をどう定めるかは、重要な事項。
●自ら掲げた目的を果たすために活動する自由な市民活動。
目的により活動が制限される。
●特定非営利活動法人の特定とは、NPO法第2条第1項、別表の17項目の活動をいう。
●営利を目的としない自由な市民の公益な社会貢献活動。社会的使命の追及を目的とし、自発的、継続的に活動する団体。
●強みを生かし、その組織の特有の使命(社会的な役割)を果たすために存在する。
●自ら考え決断し参加した市民の集まりであり、フラットな組織である。
●組織は誰のものでもなく、社会のみんなのもの。
●特定非営利活動法人は、受益者の負担と支援者の負担という二つの財布をもつ。
支援者がいなければ継続的な運営が困難。
●支援者を募るために、透明な会計処理と広く広報する必要がある。
●非営利活動だから課税されないということはない。
NPO法上の特定非営利活動であっても、税法上の収益事業(34業種)に該当すれば、課税される。
●会計は、管理費と事業ごとに処理する。管理費とは、その法人を維持するための経費。
●社会を構成する一部である。
●他の法人との連携・協働により市民自らのセーフティネットを構築し新たな市民社会を創造する。
●みなみが野球部のマネジャーになる動機
純粋に、入院している友人有紀をはげまそうとした。有紀は野球部のマネジャー
みなみは、実は野球を嫌っていた。
●「マネジメント」に出会う。
○マネジャーの資質 真摯さ P129〜130
頁は、P.F.ドラッカー著上田惇生編訳 マネジメント エッセンシャル版より
○組織の定義 「われわれの事業は何か」の問い。
わかりきった答えが正しいことはほとんどない。P23
「野球をすること」----わかりきった答え
○夕紀がマネジャーになった動機
夕紀が感動した小学校の大会決勝で、みなみがサヨナラヒットを打ったこと。
その感動をまた味わいたい。
●野球部のマネジメントに取り組む
○企業の目的と使命を定義する出発点は一つしかない。顧客によって定義される。
○「われわれの事業は何か」の問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。P23
○「顧客とは誰か」企業の使命を定義するうえでもっとも重要な問いである。
P23〜P24
やさしい問いではない。答えがわかりきった問いではない。この問いに対する
答えによって、企業(組織)が自らをどう定義するかがほぼ決まってくる。P24
○「野球部員」も顧客 すべての顧客が野球部に求めていたものは「感動」
○野球部の定義 「顧客に感動を与えるための組織」
○野球部の目標 「甲子園に行く」
○企業の目的は、顧客の創造
その基本的機能は、マーケティングとイノベーション P16
○マーケティング
販売に関係する全職能の遂行
---- 製品からのスタート P17
顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである
----- 顧客からのスタート
●マーケティングに取り組む
現マネジャーで部員の信頼が篤い夕紀がマーケティングをするための段取りを精力的に組んでいった。
(直接みなみがやったわけでなく段取りをした。夕紀がそれを重要と理解し引き受けた。)
働く人に成果をあげさせる。P57
責任を持たせる。P74 生産的な仕事。 フィードバック情報。
継続的学習が不可欠
部員それぞれの「価値ありとし、必要とし、求めているもの」がわかった。----- 成果
○マネジメントの組織化
チームで行うようにしようとした。 トップマネージメントチーム
専門家 専門家の言葉の通訳 P125
○イノベーションの機会
成長には準備が必要である。機会がいつ訪れるかは予測がつかない。
準備しておかなければならない。準備ができていなければ、機会は去り、他所へ行く。P262
○組織の目的は、人の強みを生産に結び付け、人の弱みを中和すること。P80
○人は最大の資産である。
○消費者運動はマーケティングにとって恥である。(練習をさぼる)
●人の強みを生かす
監督 ----- 専門家
文乃 ----- 専門家の通訳 新しい練習メニューの作成
○仕事を生産的なものとするもの
分析 プロセスとして編成 管理 道具
○自己目標管理 P140
強い動機づけをもたらす。
自らの仕事をマネジメントできるようになる。
○責任を組織する
働きがい チームごとのリーダに自己管理させた。 役割の担当を決めた。
責任をもたせるのに成功するのは、唯一の専門家である分野において、知識と経験が生かされる。
●イノベーション
イノベーションの実現 「何を捨てるか」 文乃の意見と監督の意見が一致
新しい指針の発表 捨てるもの ---- 高校野球が変わる
陸上部の女子キャプテンと二階正義がマネジメントチームに加わることによる活動の広がり。
他の部との合同練習 陸上部 家庭科部 吹奏楽部 柔道部
社会の問題についての貢献 少年野球部 私立大学との協力関係構築
● 感想
「もしドラ」は、専門書ドラッカーの「マネジメント」の解説書。専門書の通訳。
主人公みなみは、マネジメントチームリーダーとして、何をしたか。
具体的な活動は、文乃、二階正義、監督が実行していて、何もしていない。
チームをマネジメントしただけ、重要な場面で人事を決定している。
友人である夕紀は、みなみの最大の支援者。
友人夕紀の存在は重要。
真摯さと信頼がなければ、できないこと。
得た成果は、チーム、会場の観客、友人、関わったすべての人と共有した「感動」。
お金に換算できない。お金で購入することができない。価値あるもの。
組織は、役割と責任の組織であり、命令する権限の組織ではない。
組織の成果は、組織の外にもたらす変化であり、顧客を創造すること。
組織の目的は、人の強みを生産的なものにすることである。
組織とは、個である人間一人に対して、何らかの貢献を行わせ、自己実現をさせるための手段である。
組織は、貢献する個に対して報いようとする組織でなければならない。
「マネジメント」の意味がわかった。
組織とは、何かがわかった。
マネジメントは、遭遇する場面で、何をすればよいかを教える。
常に行動をともなう躍動的な思考方法であると思う。
平成28年1月4日 岡田 哲志